離島の旅 × SDGs 養殖場見学&ウニ殻小物作り体験
新上五島町の陸上養殖場「阿瀬津養殖場」で2022年冬に本格スタートした、SDGs(持続可能な開発目標)を学ぶことができる体験プログラムを紹介します。
この機会にSDGsの理念にふれ、島の自然や暮らしを守るために今自分ができることは何か考えてみませんか。
豊かな海の恵みを絶やさないために
釣り人の聖地として有名な新上五島町。
海に囲まれているため魚がいくらでも獲れるようなイメージですが、「この島も随分、魚が獲れなくなってしまった…」とこぼすお年寄りもいるほど、昔に比べて獲れる量は大きく減ってしまいました。温室効果ガスによる気候変動などさまざまな原因があるなかで、魚の乱獲も大きな要因の一つだと言われています。無計画に漁獲されることで海の持続性が失われつつあるのです。
この体験プログラムでは、漁業の現場が抱える課題や養殖業の果たす役割を知ることで、水産資源の枯渇や気候変動という関心を高めましょう!
調べてみよう!ここで学べるSDGs
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▽目標08
「働き甲斐も成長も」
漁業に携わる人が減るなか、そのやりがいや楽しさにふれ自分の生活との関わりを再認識しよう -
▽目標11
「住み続けられるまちづくりを」
新たな仕事を創り出すことで過疎化に歯止めをかけ、地域コミュニティを活性化させよう -
▽目標14
「海の豊かさを守ろう」
気候変動や乱獲の影響を考え、環境保全と海の生態系の保護に目を向けよう
養殖場のエース!高級魚クエ
たくさんの水槽が並ぶ養殖場に入り、見学をスタートしましょう。
陸上にある「阿瀬津養殖場」はそれほど大きくないため、効率的に収益を上げることが求められています。そのため養殖は、高単価で売ることができる「クエ」「アワビ」「アカウニ」の3種に絞っているのだそう。なかでも主力商品であるクエに関して、養殖場責任者の松田晋作さんは「天然モノにも決して引けを取らない味!」と太鼓判を押します。
陸上で大きく育った!虹色に輝く養殖アワビ
養殖槽から引き揚げられたアワビは、宝石のように美しく、貝殻は虹色の光沢を放っています。飼育担当の馬場優也さんは「7センチほどに育ちました。飼い始めたときは2、3センチ。ここまで3年程度かかりましたが、大きく育ってうれしいです」と言って目を細めます。
さまざまな困難はありながらも、充分なサイズになるまで計画的に飼育を続けられる養殖は、乱獲を防ぎ、海の自然を守ることにも繋がっています。
いずれは新上五島ブランドとして世界へ
「ビジネスという面では手さぐりの部分もある」と松田さん。「いずれは新上五島ブランドとして世界中に出荷できるよう頑張りたい」と力を込めると同時に「SDGsの理念普及にも尽力したい」と話してくれました。
陸上養殖は、年間を通じて安定した品質の商品が提供できるようになるだけでなく、海洋資源減少への歯止めの効果も期待されていることから注目されています。
移住者パワーで過疎化の島に活気を
一方、新上五島町では過疎化も深刻な問題です。1955年には約5.7万人いた人口も2015年には2万人を切ってしまい、その後もさらに減り続けています。
「阿瀬津養殖場」を開設した目的のひとつは、島に新たな働き口を創出し過疎化に歯止めをかけること。
実は、養殖場で働いている馬場さんと松田さんは、ともに移住者です。漁業のイメージを変えて就業する人を増やし、また人口減が深刻な地域を変えようと奮闘する人たちがいることで、時間をかけて少しずつ島が活性化されていく、そんな期待も寄せられています。
殻も捨てない!ウニ殻ランプを作ろう
養殖場を見学した後は、ここで養殖されたウニの殻を使った小物づくりも体験できます(オプション)。
ウニの殻をカラフルに塗ったり、アワビの殻や貝殻などでデコレーションすれば、可愛い花瓶やランプに大変身!世界にひとつだけのオリジナル作品は、SDGsにふれた体験プログラムの記念にピッタリです。
このほか、クエの切身作りやウニの殻を実際に割ってみる体験等もできますので、お気軽にお問い合わせください。
体験プログラムのお申込み・お問合せについて
「阿瀬津養殖場」での体験プログラムへの参加は事前予約が必要です。
お申し込み・お問い合わせは、新上五島町観光物産協会(長崎県南松浦郡新上五島町有川郷、0959-42-5005)まで。
■期間:通年
■受入人数:1人~10名
■所要時間:約1時間~
■料金(お一人様):養殖場見学/1,500円
養殖場見学に【ウニ殻小物作り :1,000円】のオプション追加可能