私は頭の中で旅行の構想を練っています。
ある時期から日本のキリスト教の歴史に興味を持ち、教会や歴史の足跡を訪ねるため、
趣味の写真撮影も兼ねて、長崎県を中心として九州を訪れるようになりました。
頭の中はいつも、“次はどこで何を見ようか”“どのルートで行こうか”“どんな写真を撮ろうか”でいっぱいです。
今回は、日本のキリスト教史の舞台であり、
海と山の自然美にあふれた長崎県の西部、
「祈りの島」と呼ばれる五島列島にある「新上五島町」のフォト旅をご紹介します。
新上五島町には鯛ノ浦港、奈良尾港、有川港、青方港と、
メインの玄関口が4つもあり、長崎港、佐世保港、博多港からフェリーや高速船が出ています。
日程に余裕のある方へのオススメは、
博多港を深夜11時45分に出港する野母商船フェリー「太古」でのアクセス。
青方港到着は早朝5時40分頃。しかし、あえてここでは降りずに、
次の寄港地、奈留港または最終地の福江港(ともに五島市)まで行きます。
目的は、青方港出港後に通過する、朝陽に照らされた若松瀬戸を見るためです。
日の出の時刻を狙うので季節を選びますが、オレンジ色に染まった瀬戸の島々の幻想的な風景を体験できます。
新上五島町に戻ってくる船便の中から青方港、若松港に寄港するフェリーを選べば、
日中や夕方の時間帯に若松瀬戸の別の表情を見つけることができます。
{朝靄につつまれた若松瀬戸}
それでは、新上五島町のとっておきの教会をご紹介します。
[大曽教会]
大曽教会は青方港から程近い入り江の高台にあるレンガ造りの教会で、前庭に立つ両手を広げたキリスト像が訪れる人を迎えてくれます。青方港に寄港したフェリー太古からも、遠目に見ることができます。東に向いて建っているので、正面に陽があたる午前の時間帯が狙い目。写真はあいにくの小雨の中、対岸から撮影した1枚です。旅行先ではどうしても晴天を期待しますが、雨天は濡れたレンガや緑が色鮮やかになるため、小雨程度なら捨てたものではありませんよ。
[赤波江教会]
赤波江教会は、中通島の北側、ヒョロヒョロと伸びた新魚目半島の東側に切り立った崖の中腹に建つ、屋根の赤がとても鮮やかな教会です。中通島の北東に野崎島があり、この野崎島の南端にある舟森集落跡からも赤波江教会を確認することができます。撮影日の天気予報は“曇りのち雨”。写真奥に見える山頂にもガスがかかっています。写真は、海を背景に赤い屋根を撮るために、曇天の短い晴れ間に裏山に登って撮った1枚です。次の機会には有川港と小値賀島を結ぶ定期航路を使って、海上から赤波江教会を撮影しようと計画しています。
[桐教会]
桐教会は某充電バイク旅で出川さんも訪れた教会。西向きに立っており、私が訪問した朝は、教会の裏山から陽が昇るところでした。逆光で鮮やかな色が期待できないため、思い切ってモノクロで撮影しました。桐古里郷のオススメはなんと言っても、教会前の瀬戸の透明度。荒島、桐ノ小島がすぐ目の前にあるため、川と見間違うほど狭いですが、そのエメラルドグリーンの透明な瀬戸は一見の価値あり。写真撮影の際は、ぜひPLフィルターをお試しくだい。水面の反射を抑えてその透明度を捉えることができます。桐教会もフェリー太古から見つけることができます。若松瀬戸を通過するときに先程の荒島、桐ノ小島の影に少し頭をのぞかせる程度なので発見難易度は高いですが、ぜひチャレンジしてみてください。
[青砂ヶ浦天主堂]
夕刻に訪れた青砂ヶ浦天主堂は夕陽にほんのり赤く染まっていました。仕事を終えた漁港と共に静かに一日を終えようとしているように感じ、教会と漁村を一緒に写真に収めるため、防波堤から撮影しました。写真ではわかりませんが、青砂ヶ浦天主堂は正面に色の違うレンガを組み合わせた十字のデザインが施されています。設計者の遊び心を感じますね。
[土井ノ浦教会]
前述の大曽教会を建て替える際に、それまでの旧教会堂を移築して利用したのが土井ノ浦教会。南側の海に向いて建っており、フェリーが土井ノ浦港に近づくと高台に見つけることができました。港の待合所から道なりに登っていくと坂の途中に教会があります。西側の山に隠れる寸前の夕陽がステンドグラスを照らし、聖堂を色鮮やかに染めていました。同じく夕陽を浴びたキリスト像が漁港を見下ろすように立っていたので、キリスト像と日陰に入った漁港を一緒に写真に収めました。敷地内の資料館も必見です。